JOURNEY

Where Cities Change, Craftsmanship Evolves

― 変わりゆく街、変わり続けるものづくり② ―

7年ぶりに訪れた中国で、ものづくりの進化を感じた工場視察。前回の記事では、ダウン製品を生産する工場を訪れ、縫製工程やダウンパックの製作工程を視察した。
今回は、その続編となる現地のものづくりの様子をお届けする。

次に訪れたのは、ファーやボアなどの素材を専門に扱う紡績工場である。
工場は、南通市から車で約1時間の常熟市に位置している。
常熟市は軽工業を中心に発展しており、なかでもアパレル・繊維産業が盛んな地域として知られている。
約20万人(総人口の約20%)が同産業に従事して地域の産業基盤を力強く支えており、縫製だけでなくファーやボアをはじめとする多様な素材の紡績も活発に行われている。

紡績工場内2階からの景色

左:加工後の生地 右:加工前の生地

紡績工場を視察するのは今回が初めてだ。
実際の現場では、原料の選別から紡績に至るまで多くの工程が細かく管理されており、品質を安定させるための徹底した管理体制に驚かされた。
特に、ファー特有の柔らかな風合いとボリューム感を生み出すためには、わずかな調整が仕上がりを大きく左右することを知り、ものづくりの奥深さを改めて感じることができた。

また、工場の広大な敷地や生産設備の規模は日本ではなかなか目にすることのないスケールで、その迫力に圧倒された。
多くの工程と技術者の努力によって生み出されていることを知り、現場の高い技術力と品質へのこだわりを強く感じた。

続いて、常熟市から車で約40分の南京市内にあるファー製品専門工場を訪れた。
南京は歴史的な古都として知られる一方、近年は近代的な都市開発が進み活気あふれる経済都市へと変化を続けている。

立ち並ぶ高層ビル群

リニアモーターカーからの車窓

今回訪問した縫製工場は、今シーズンも好評のファー製品を手掛ける、長年のパートナー企業である。
現場では、生地選びから共同開発に取り組んできた製品の素材選定、加工、縫製に至るまでの生産工程を視察した。

毛皮裁断用の特殊ナイフ

ファー製品の縫製場

ファー製品特有の特殊な裁断や、カープシーマ(巻き縫いミシン)での縫製など、専門現場ならではの工程を視察できた。
サンプル段階では気付かなかった細かな仕様や、生産現場だからこそ見えてくる改善点も多く、現地を訪れることの重要性を改めて認識した。

近年は円安や原材料費や人件費の高騰、生産環境の変化など、アパレル業界を取り巻く状況が大きく変化している。しかし、そのような環境下においても品質を維持し、より良い製品づくりを追求する姿勢は変わらない。
今回の工場視察を通じて特に印象的だったのは、日本向け製品に対応するための技術力の高さだ。日本市場では縫製仕様や品質基準、検品ルールに至るまで細かな要求がある。
その要求にこたえるため、縫製精度の管理や工程ごとの品質チェックが徹底されており、長年にわたって蓄積されたノウハウの厚みを感じた。
効率だけでなく品質を安定させ、維持する仕組みづくりも含め、日本向け生産ならではの価値を改めて実感する機会となった。

中国では最新設備を活用した効率的で安定したものづくりが行われる一方、インドではハンドワークを活かした丁寧なものづくりが行われており、それぞれの国ならではの強みや技術の違いを実際に見て学ぶことができた。

今後も現地での視察や経験を活かし、それぞれの強みを取り入れたものづくりを通じて、お客様に喜んでいただける商品づくりに取り組んでいきたい。

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