SKETCH

Inherited technique [LEAVERS LACE]

― 伝統を未来へつなぐという選択 ―

 

今回は、私たちがインドで長年にわたり扱ってきた「リバーレース」について紹介したい。

リバーレースとは、19世紀初頭にイギリスで発明されたリバー織機によって編み上げられるレースのこと。
現在でも英国ノッティンガムの老舗メーカー、Solstiss が、伝統的な機械と熟練の技術によって、その美しさを守り続けている。

リバーレース最大の特徴は、極細の糸が生み出す圧倒的な繊細さにある。 機械織りでありながら、まるで手編みのようなやわらかな風合いと立体感を持ち、光を受けて生まれる陰影が装いに奥行きを与える。
その存在感は、他のレースでは決して代替できない特別なものだ。

現在取引のあるレース工場では、すでに複数台のリバー織機を保有している。
そして今回、新たにスペイン・バルセロナから1台を導入することとなった。 バルセロナにおいても、リバー織機を保有する工場はごくわずかである。

バルセロナから海を越えてやってきたリバー織機

 

維持費やメンテナンスの負担に加え、日々の細かなセッティング作業まで、熟練の職人が担わなければならない。
その作業量と責任は、想像以上に大きい。

しかし現在、こうした繊細な技術を継承する担い手は年々減少している。
このままでは事業継承が難しい。そう判断したバルセロナの所有者は、インドでの承継という道を選択した。

理由はいくつかある。
加工賃をバルセロナより抑えられること。
そして、平均年齢の若いインドには、次世代の担い手を育成できる可能性があることも、その決断を後押しした。
リバー織機は、セッティングが非常に難しい。そこには、長年培われてきた職人の技術が深く関わっている。

柄を織り出すための手作業によるパンチカードづくり

一つひとつの穴が、レースの模様を決定する設計図となる

 

だからこそ単に機械を売却するのではなく、技術者を現地へ派遣し、技術そのものを伝えていくという決断に至った。
そこには、単なるビジネスを超え、文化と技術を未来へつないでいこうとする強い意志がある。

織機を支える無数の部材

繊細なレースを生み出すために、使用する糸を一本ずつセットする

 

私たちはこの背景に触れたとき、リバーレースが持つ歴史の重みをあらためて実感した。


200年以上受け継がれてきた技術のバトン。


その一端を担っているという事実は、大きな責任であると同時に誇りでもある。
この機械を残すということは、単に生産設備を維持することではない。
技術そのものを次世代へ受け渡していくことでもある。

 

 

リバーレースには、職人の情熱、費やされた時間、そして長い歴史の積み重ねが織り込まれている。


これからもその価値を深く理解し、大切に扱いながら、次の時代へとつないでいきたい。
今回の導入は、私たちにとって改めて「継承」の意味を考える機会となった。

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